淳心学院の教育改革

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2015/02
言論の自由と宗教の尊厳

 1月は2つの悲劇的事件が起こりました。1つはパリのシャルリーエブド社襲撃とそれに関連する事件であり、もう一つは「イスラム国」による日本人人質脅迫・殺害事件です。パリの事件はイスラム過激派による風刺漫画週刊紙出版社のシャルリーエブド社に対する襲撃とそれに関連する事件で、編集部を中心に17人の犠牲者がでました。まず当然のことながら、いかなる理由があろうと問答無用の殺害という暴力行為を許すことはできません。そのことを踏まえたうえでこの事件の原因を考えてみると、シャルリーエブド社は風刺のなかでイスラム教の創始者である預言者ムハンマドを風刺する対象としてたびたび取り上げていたようです。それに対しイスラム教は偶像崇拝を厳格に禁止している宗教ですから、預言者ムハンマドを風刺漫画の対象とするという行為自体、イスラム教徒の人たちはイスラム教に対する許すべからざる侮辱行為と捉えたようです。シャルリーエブド社がよりどころとする考え方は言論の自由です。言論の自由は自分の考えていることを自由に表明できる権利で、特に権力者や権威に対する批判、具体的には政府や教会を批判しても処罰されないことが保証されているという権利です。この権利はイギリスのロックやフランスのヴォルテールなどの啓蒙主義者によって主張され、フランスの人権宣言に盛り込まれ、フランス革命によって確立されました。西欧近代社会の基本原理の1つと言ってよいと思います。特にフランスは革命によって確立した「自由・平等・友愛」という考え方を国家の基本原理とする国ですから、この権利に対するこだわりは強いといえるでしょう。ただフランスでも言論の自由は無制限ではなく、人種差別、民族差別、ユダヤ人差別などは制限されているようです。しかし政府と宗教は批判の対象となります。キリスト教や教会も批判や風刺の対象となりますが、ある意味慣れっこになっているところもあるのか、当然のこととして許容しています。中世ヨーロッパでは教会の権威は絶大で批判は決して許されなかった歴史の結果ともいえるでしょう。シャルリーエブド社の考え方としては、風刺の対象となる宗教のなかには当然キリスト教だけでなくイスラム教も含まれるということだと思います。

 しかしひるがえってイスラム教社会はイスラム教という宗教が絶対的権威となっている社会です。神や預言者に対する冒涜は決して許されません。現在はイスラム教の国も世俗の法によって運営されてい.るところも多いですが、本来イスラム教に基づく法(シャリーア)によって統治されるべきだという主張が説得力を持つ社会ですし、イランのようにイスラム法が優先されている国もあります。ですから宗教と社会が公的には分離して世俗化している西欧社会(日本もそうですが)と宗教優先のイスラム社会とは基本的な社会の構成原理が異なっているわけです。お互いが共存していくためには、2つの社会はその構成原理が異なっていることを認めあわなければなりません。そのうえで世俗化した社会の人間は、預言者の風刺はイスラム教に対する侮辱であるとするイスラム教徒の感情を尊重しなければならないのではないでしょうか。ローマ教皇フランシスコも、他者の信仰に関しては言論の自由にも限度があると言っているようです。

 「イスラム国」による日本人人質事件は非常に残念な結果に終わりました。「イスラム国」の行為は決して許すことはできません。ただこの事件は、日本人にとって今まであまり馴染みのなかったイスラム教ともしっかり関わっていく必要があることを示していると思います。もちろん「イスラム国」はイスラム教のなかでごく一部の過激派で、大多数のイスラム教徒は穏健で平和を愛する人々であることはまちがいありません。ただイスラム教徒は統計によれば世界でキリスト教徒に次いで数が多く、世界人口の5人に1人はイスラム教徒です。それだけ世界で影響力をもっている存在ですから、私たち日本人はもう少しイスラム教及びイスラム教社会を知る努力をしていくべきでないかと思います。

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