淳心学院の教育改革

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2015/11
難民問題について

 現在、多数のシリア難民がヨーロッパへの受け入れをめざして移動しています。彼らの受け入れをどうするかが大きな国際的関心を呼び起こしています。問題が大きく取り上げられるようになったきっかけは、9月2日シリア難民の3歳の男の子の溺死体がトルコの海岸に流れ着いた写真が世界に報道されたことです。この子は家族とトルコからギリシャにゴムボートで渡ろうとしてゴムボートが沈没し、父親だけ助かり母親と兄も死亡しました。この写真によってシリア難民の問題がにわかに人道問題として取り上げられるようになったのです。今年になって地中海、エーゲ海からヨーロッパに渡った難民の数は36万人に達しているとのことです。

 シリア内戦は2011年にイスラム各国で起こった民主化運動、いわゆる「アラブの春」の1つとして起こった反政府運動がきっかけでした。政府の厳しい弾圧によって反政府側も武力で応戦して内戦となり、ロシアが支援するアサド政権とアメリカが支援する反政府勢力それにイスラム国(IS)が加わり、三つどもえの戦闘となって内戦は泥沼化し、内戦の死者はこの4年間で25万人を超え、国連としても正確な数は把握できないという状況になっています。そうした中で難民として国外に出た人の数はすでに400万人を超えているといわれています。シリアは人口約1800万人の国ですから人口の2割以上の人が国外に出たことになります。難民となった人々はシリアの隣国であるトルコ、レバノン、ヨルダン、イラクにも多数存在しているのですが、多くの人々が安住の地を求めてヨーロッパに向かっているのです。

 こうした状況の中でドイツのメルケル首相は難民を数年間で50万人受け入れると発表しました。イギリスも5年間で2万人の受け入れを表明しました。いうまでもなく難民を受け入れるということは大きな経済的負担を伴います。まず当面住む場所、食べる物、着る物を提供しなければなりません。さらに定住するということになれば大人には仕事、子供には教育を与えなければなりません。シリア人はイスラム教徒ですから、キリスト教社会のヨーロッパにとって文化的摩擦という問題もあるでしょう。ですからヨーロッパの人々も皆が難民の受け入れに賛成というわけではありません。ドイツでも強い反対があります。ハンガリーやセルビアのように難民を受け入れない厳しい対応をしている国もあります。逆にヨーロッパ以外でもカナダやオーストラリアのように受け入れを表明している国もあります。そのようにいろいろな考え方がある中でともかくEU(ヨーロッパ連合)はこの問題をめぐって何度も会議を開いて対応を協議しています。そして難民の受け入れを表明している国も単純に人道的問題として捉えているだけでなく、将来の労働力として期待している面があることは否定できないでしょう。

 ひるがえって日本政府は去年50人ほどのシリア難民が難民申請をしたのですが、一人も難民として認定していません。シリア人に限らなければ約5000人が難民申請をおこなったのですが、認められたのはたった11人です。以前から日本は難民認定の厳しい国ですが、それにしてももう少しなんとかならないのだろうかという数字です。この政府の姿勢には多くの日本人の国民感情も影響していると思います。外国人と一緒に暮らすことに慣れていない、外国人は何となく怖いといった気持ちを持っている人が多いように感じます。しかし日本でも難民の受け入れをおこなった例があります。1975年にベトナム戦争が終結した後、多数のボートピープルが南シナ海に漂流して国際問題になりました。このとき日本は人道的見地から1万人のインドシナ難民の定住受け入れを決定しました。そして姫路市と神奈川県の大和市に難民定住センターを作り、入所した人たちに4ヶ月間日本語や日本の生活習慣を教えた後定住させました。姫路市は定住センターがあった関係でたくさんのベトナム人が居住しています。最初の頃は居住した集合住宅に夜集まって騒ぐなどちょっとしたトラブルはあったようですが、現在特に問題はありません淳心でも生徒がベトナム人の子供に勉強を教えるボランティアをするなど関わったこともありました。今、姫路カトリック教会の日曜のミサには100人前後のベトナム人が参加しています。教会学校の子供の大部分はベトナム人です。これは難民受け入れの立派な成功例といえると思います。キリスト教の最も大事な考え方の一つはつねに困っている人、弱い立場の人の側に立ちなさいということです。人道的見地からシリア難民も含めた難民受け入れの拡大を検討してもよいのではないかと思います。定住した彼らは将来日本にとって役に立つ人たちになることも期待できるのではないでしょうか。

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