淳心学院の教育改革

淳心学院の教育改革

2017/02
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』について

  しばらく前からそれなりに評判になっている、矢部宏治氏の『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読みましたが、内容が衝撃的なので少し紹介したいと思います。矢部宏治氏は1960年、兵庫県生まれ、慶應大学文学部卒で1987年から書籍情報社代表ということで多数の著作をされている人物です。本の内容はバート1からパート5に分かれているので順に見ていきます。パート1は沖縄の謎で、最近オスプレイが沖縄の海岸近くに不時着(墜落)時に規制線が張られて、日本の警察などが全く近づけないなかで、米軍が機体の回収などを行ったことの理由が書かれています。結論からいうと、日米安保条約及び日米地位協定が日本国憲法の上に存在していること、及びそれに伴って設置された日米合同委員会が日本政府の上に存在しているということです。そして日本国内において在日米軍は日本政府の制約を受けずに自由に活動する権利があるということで、これは戦後直後のアメリカの日本占領時と何ら変化していないということです。矢部氏はそのことの例証として東京を中心とする首都圏上空にも、横田空域という米軍の管理空域があって日本の飛行機がそこを飛べないようになっている事実をあげています。まさに驚くべき内容ですが、矢部氏はこれらの事実はアメリカが公開している公文書によって立証することができるとしています。パート2は福島の謎で東日本大震災による福島の重大な原発事故の後、多数の国民が原発の廃止を望んでいるのに政府が原発再稼働などの政策をとる原因の1つは、日米原子力協定にあるとしています。つまり原子力に関しても日米地位協定のような日米原子力協定という日米間の取り決めがあって、原発の運用についてアメリカの承認がないと日本側が勝手に「脱原発」とか決められないようになっているというのです。これも事実とすればゆゆしき問題だと思います。パート3は安保村の謎①で日米関係の重要文書はすべて最初は英語で書かれていると指摘しています。たとえば1946年の昭和天皇のいわゆる「人間宣言」、サンフランシスコ講和条約、日米安保条約、そして最も大事なのが日本国憲法です。日本国憲法の草案は1946年の2月4日から2月12日にかけてGHQによって書かれました。このことは現在では多くの日本人が知っています。しかし矢部氏によれば日本国憲法をめぐる問題は①占領軍が密室で書いて、受け入れを強要した。②その内容の多くは(特に人権条項)、日本人にはとても書けない良い内容だった。という2つの面をもっていて、これが現在の改憲論と護憲論の左右両派の対立になっていると指摘しています。しかし私にとって本当にショックだったのは、矢部氏が戦前「天皇機関説」で有名だった美濃部達吉氏の枢密院の憲法審議の時の発言を紹介している箇所です。美濃部氏はそこで「現在進行中の手続きによると、草案を勅命によって議会に提出し、天皇のご裁可によって憲法改正が成立することになる。それにもかかわらず、前文では、国民みずからが憲法を制定することになっていて、これはまったくの虚偽である。」「民定憲法は国民代表会議をつくってそれに起案させ、最後の確定として国民投票にかけるのが適当と思う。現在のやり方は虚偽であり、このような虚偽を憲法の冒頭にかかげることは国家として恥ずべきことではないか。」という発言をおこなって枢密院の採決でただ一人反対票を投じたという事実です。矢部氏も指摘しているように近代民主主義国家における憲法制定の手続きは、政府が草案をつくるのではなく、国民代表会議をつくって草案を作成し、その後国民投票にかけて決定するというのが通常の手続きで美濃部氏の発言は正論です。制定過程のこの問題にまったく気づいていなかったことは社会科教師として忸怩たる思いです。パート4は安保村の謎②で国連について書いています。国連(ユナイテッドネイションズ)は連合国とも訳すことができ、日本との戦争が終了する前に、連合国の後の常任理事国になる国を中心につくられたことはよく知られた事実ですが、その国連憲章の中に「敵国条項」というのがあります。この敵国条項の主要な対象はドイツと日本であり、その目的はドイツと日本の永久的かつ有効な非武装化であり、これら2カ国の支配である、と執筆者が起草委員会で述べたことが議事録に残っているそうです。そして日米安保条約は日本の再軍備を阻止し日本を封じ込めることも目的にしていると指摘しています。また米軍機は日本各地で低空飛行訓練をしていますが、これはいつでも日本の原発を標的に爆撃するというオプションをもっていることを意味するとも指摘しています。またフランスの国連憲章の解説書によれば、敵国条項の当事国であるドイツは戦後の一連の外交努力によってソ蓮などとの関係を改善し、敵国条項を無効にしたと書かれているそうです。パート5最後の謎ではこれらの問題の本質は、占領終了後の米軍の駐留を日本側から働きかけたことにあるとしています。そしてその理由としてその当時の日本の支配層の共産主義革命に対する恐怖をあげています。憲法9条を執筆したケーディスは、その目的を日本を永久に武装解除されたままにしておくことでしたと述べたそうです。矢部氏は在日米軍基地と憲法9条2項、そして国連憲章の敵国条項の問題は密接にリンクしている。どれか1つでも解決しようとすれば、必ず3つをセットで考え、同時に解決する必要があると主張しています。以上大変に考えさせられる内容の本だと思います。

学校案内
中学入試について
淳心教育の特色
進路
学校生活
学校法人淳心学院中学校・高等学校
〒670-0012 兵庫県姫路市本町68 TEL:079-222-3581 FAX:079-222-3587

デジタルパンフレット