淳心学院の教育改革

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2017/09
「ヨセフとその兄弟」について

 夏休み、図書室にあるトーマス・マンの「ヨセフとその兄弟」を読みました。全3冊の合計約2000ページになろうという大長編小説です。題材は旧約聖書の「創世記」の父親ヤコブと息子ヨセフとその兄弟たちの物語です。トーマス・マンは題材になった元の物語を彼の想像力によって大幅に拡充して、非常に内容豊かな大河小説に書き改めています。しかし元の物語は普通の日本人にとって必ずしも馴染みのあるストーリーとはいえないので、少しストーリーを紹介したいと思います。

 「創世記」によればユダヤ民族の祖であるアブラハムは妻サラとの間に子供ができませんでしたが、かなり高齢になって息子イサクを授かり、イサクは遠く離れた親戚の娘リベカを妻としました。リベカは双子の兄弟エサウとヤコブを産みましたが、イサクはエサウを愛し、リベカはヤコブを愛しました。ヤコブはリベカの計略によって長子権とイサクの祝福を得ることができましたが、エサウの復讐を恐れて遠く離れた母リベカの兄ラバンを頼ってラバンの下で働くことになりました。ラバンにはレアとラケルの2人の姉妹がいましたが、ヤコブは美しい妹のラケルとの結婚を希望しました。そのためヤコブはラバンのもとで7年間働きましたが、最初に結婚を認められたのは姉のレアでした。その後、ラケルとの結婚も認められましたが、ヤコブはそのためさらに7年間働きました。その間ヤコブにはレアとの間に6人、レアとラケルのそれぞれの召使い女との間に2人ずつ合わせて10人の子供が授かりましたが、最愛のラケルには子供ができませんでした。しかしついに11番目の子供としてラケルが産んだ息子がヨセフです。ですからヤコブは当然の事として、他の子供たちと比べてヨセフを特別に可愛がりました。そしてとうとうヤコブは2人の妻と子供たちとたくさんの家畜をつれて、ラバンの下を離れ、イサクのいる故郷パレスチナに帰ります。かつてけんか別れをしていた兄のエサウと感動の再会をした後、エルサレムの近くの道端で妻ラケルが産気づき難産の末、12番目の息子ベンヤミンを産みますが、ラケルはそこで死にます。ヤコブはそこで泣く泣くラケルを埋葬します。故郷に帰り着いたヤコブは高齢の父イサクが亡くなったので、兄エサウと共に祖父アブラハムの墓所に葬ります。故郷に戻って生活を始めたヤコブですが、相変わらずヨセフを可愛がるのでヨセフは兄たちの妬みをかいます。そしてとうとう17歳のヨセフは兄たちによってエジプト行きの商人たちに売り飛ばされてしまいました。兄たちは父ヤコブにヨセフが野獣に食い殺されてしまったと報告したのでヤコブは嘆き悲しみます。

 さてここからはヨセフが主役となりますが、ヨセフはエジプトに着くとファラオの侍従長ポティファルに買われます。彼はそこで召使いとして働きますが、やがて持ち前の才能と神の計らいによって家の管理をすべて任されるようになります。ヨセフは顔も美しく、体つきも優れていました。ところがヨセフはポティファルの妻に言い寄られ、それを断ったので牢に入れられました。しかし牢の中で、ヨセフには人の夢を読み、謎を解く力があることがわかりました。そしてついにヨセフはファラオの前に引き出され、誰も解くことのできなかったファラオの夢を解くことができました。その内容はこれから7年間エジプトには大豊作が続き、その後7年間大凶作が続くというものでした。ファラオはその内容とヨセフの才能に驚き、ヨセフを宰相にしてすべてを任せることにしました。ヨセフは30歳にしてエジプトの宰相となり、エジプトの統治を任されることになりました。そして祭司の娘と結婚し、マナセとエフライムという2人の息子を授かりました。ヨセフは豊作の7年間、国中の食料を集め、町々に蓄えさせました。飢饉が始まるとすべての穀倉を開いてエジプト人に食料を売りました。飢饉はエジプトだけでなくまわりの地域にも広がったので世界各地の人々がヨセフの下に穀物を買いにやってきました。ヤコブの所でも穀物がなくなったので、ヤコブはベンヤミン以外の10人の兄にエジプトに行って穀物を買ってくるようにいいます。ヨセフは自分の所にやってきた10人の兄たちを見てそれとわかりますが、兄たちはヨセフとわかりません。そこでヨセフは計略を使って一番下の弟のベンヤミンを連れてきたら穀物を売ってやると言います。兄たちはやむなく父ヤコブのもとに戻って弟ベンヤミンを連れて行くことを説得します。父ヤコブは渋りますがとうとうベンヤミンを連れて行くことを了承します。弟ベンヤミンを含む11人の兄弟がやってくるとヨセフは自分の正体を明かします。そしてヨセフは兄弟にこう言います。「私はあなたたちにエジプトに売られたヨセフです。しかし今私を売ったことを悔やむ必要はありません。私をここへ遣わしたのは神なのです。」そして兄弟は感動の再会をします。ヨセフは兄弟に父ヤコブに自分が生きていることを伝え、ヤコブをエジプトに連れてくるよう頼みます。ファラオもそれを聞いて兄弟にたくさんの宝物を与えて、ヤコブを連れてくるよう命令します。兄弟はヤコブの下に戻り、ヨセフが生きていたことを報告します。ヤコブはエジプトに行くことを承諾し、一族をあげて旅立ちました。ヤコブの一行がエジプトに入ると迎えに出たヨセフとヤコブは涙の再会をします。さらに130歳のヤコブはファラオに面会し、それから17年生きて147歳でその地で死にました。ヨセフはエジプトの葬列を従えてヤコブを故郷パレスチナの祖先の墓所に埋葬します。ヨセフは父の家族と共にエジプトに住み110歳で亡くなりました。これで旧約聖書の最初の書「創世記」は終わります。

 このように旧約聖書のヤコブとヨセフとその兄弟たちのストーリーは、感動的な物語です。J1の宗教の授業では3学期に取り上げます。トーマス・マンはこのストーリーを大変おもしろい、大幅に拡充された小説にしていますが、最も大事なテーマであるヤコブとヨセフの神の計画への揺るぎない信頼はしっかりと書いています。いずれにしてもトーマス・マンのはとても長いので、元になった「創世記」の後半を一読されることをお勧めします。

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